“読者が取り上げている問題が、何世紀にもわたって思想家が思索を重ねているにもかかわらず、いまだに意見の一致をみない問題だとしよう。その場合には、単に質問に答えるだけでは、読み手はシントピカル読書の務めを完全に果たしたとは言えない。この種の問題の解決は、そう簡単に得られるものではない。かりに真実というものがあるとすれば、それは、十分な証拠と理由に裏付けられた、対立意見の衝突の中に求められるのではないだろうか。
したがって、かりに真実―つまり、問題の解決―があるとすれば、それは、命題や主張ではなく、秩序だった論考の中にあるのである。真実をつかみ、ほかの人にもこれを示すには、ただ質問をし、答えるだけでは十分ではない。ある順序で質問するのはなぜか、また、質問に対して各著者がそれぞれ違った答えをしているのはなぜか、その理由を述べなくてはならない。さらに、その出典を明らかに示すことができなくてはならない。これらの作業をすべて終えて、論考を分析したと言える。そのときはじめて、問題を理解したと言えるのである。”
本を読む本 / M.J.アドラー、C.V.ドーレン